アスベストは建材や自動車部品などに使用されてきた耐熱性・耐火性の高い繊維状物質であり、長年にわたりその利便性から多くの製品に使われてきました。しかし、健康への影響が考えられるようになり、現在では使用が制限されています。また、除去作業や処理に関しては高い技術が必要です。さらに、分析にも高度な技術が必要とされ、以下ではその方法について紹介します。
主な方法として顕微鏡観察によるものが使われています。顕微鏡は高倍率での観察が可能であり、アスベストが含まれる試料から極微小な繊維を抽出することが可能です。そのため、種類や含有量を正確に特定することができます。さらに詳しくみると、主に調光偏光顕微鏡法・走査型電子顕微鏡法・走査型トランスミッション電子顕微鏡法の以下の3つの方法があります。
調光偏光顕微鏡法は、アスベスト繊維が偏光面を通過する際に発生する色の変化を利用して、繊維を特定する方法です。この方法は、比較的低コストで可能であり、建材や土壌などの試料に対しても有効です。走査型電子顕微鏡法は、高度な分析技術が求められますが、非常に精度の高い精度を持ちます。試料表面に電子ビームを照射することで、アスベスト繊維の形状や成分などを詳細に観察することができます。
走査型トランスミッション電子顕微鏡法は、さらに高精度な分析が可能であり、繊維の結晶構造や成分などをより詳細に解析することが可能です。ただし、高度な技術が必要とされ、装置自体も高価であるため一般的な分析方法ではありません。以上のように、アスベストの分析には、顕微鏡観察による方法が主に使われています。